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浄化槽について

浄化槽は下水道整備のミニチュア版ともいえるもので、下水道の処理場の役割をしています。
基本的には自己責任において自分が使った水をきれいにして自然に戻すという大切で当たり前のことを浄化槽という処理槽でおこなう訳ですが、下水道整備など行政主導により環境を守るため進めてきているのが現状です。
ここではちょっと違った視点で説明したいと思います。




浄化槽設置の長所と短所

 

長所としては、浄化槽が設置されると環境面や生活面で快適な生活が送れるのは当然ですが、下水道と比較して考えると各家庭や事業所から排出した汚水を自己のリスク(自己費用)において管理し、浄化槽を設置することにより環境に対しての意識が高まり何よりも他人に迷惑を及ぼさないというモラルや環境面 でのメリットが大きいのではないでしょうか。
短所としてはやはり個人負担が多く補助金など行政の支援がなければ普及しづらい面 があります。
また自分で管理をしなくてはならずメンテナンスでの出費を覚悟しなければなりません。


浄化槽の種類

 

浄化槽には単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の2通りがあります。


単独処理浄化槽・・・し尿(水洗便所汚水)だけを単独で処理する浄化槽
単独処理浄化槽は処理能力が合併処理浄化槽の約8分の1程と著しく低く、行政側の指導としても合併処理浄化槽を進めており、平成13年度の法改正では新設許可がおりないとされています。


合併処理浄化槽・・・・・し尿と生活雑排水を併せて処理する浄化槽
合併処理浄化槽の性能は、*BOD除去率90%以上、処理水質BOD20mg/L以下です。
これは大規模な公共下水道の終末処理施設と同等な性能を持っています。

 

佐賀県では合併j処理浄化槽を設置するときに、設置補助金が出る場合があります。
各市町村で補助限度金額が違いますので、各市町村にお問い合わせ下さい。



昭和40年代以降、トイレを水洗化するために、し尿を処理する浄化槽(単独処理浄化槽)が急速に普及しました。
しかし、単独処理浄化槽では、水質汚濁の最大原因である生活排水はそのまま流されています。又、浄化槽の性能の面 でも、環境保護の観点からは不十分であると指摘されるようになりました。
こうした時代の要請で開発されたのが、し尿も生活雑排水も併せて高度に処理する合併処理浄化槽です。




合併浄化槽のしくみ

■嫌気ろ床接触ばっ気方式

トイレや台所などから流された汚水は、まず嫌気ろ床槽に入ります。
嫌気ろ床槽では、汚水中の浮遊物が取り除かれるとともに、プラスチック製のろ材の表面 に付いた嫌気性微生物(酸素のないところで繁殖する微生物)が汚水に含まれる有機物を食べてくれます。
つづいてもう一つの嫌気ろ床槽を通り、同じ処理をくりかえしてから、接触ばっ気槽に入ります。ここには好気性微生物(酸素のあるところでさかんに繁殖する微生物)が待ち構えていて、ブロワーから送り込まれる空気の助けをかりて、さらに有機物を分解します。
こうしてきれいになった上澄みの水は消毒槽で消毒されてから放流されます。有機物を分解しながら増え続けた微生物は汚泥となって沈殿槽に沈み、このように、汚水が浄化されるということは、汚れの成分が水から取り除かれ、汚泥として浄化槽の中にたまることです。
この働きを維持させるために1年に1回清掃する(たまった汚泥を抜き取る)ことが必要です。

■分離接触ばっ気方式

嫌気ろ床槽のかわりに沈殿分離槽を設けるタイプの合併処理浄化槽で、性能は同等です。
なお、最近では、汚水中に含まれる窒素を高度に処理できる家庭用の合併処理浄化槽も開発、実用化されております。


自然の浄化作用


  川の浄化作用


  海の浄化作用

浄化槽は一見、特殊な装置のように思われますが自然界で日常的に行われている浄化作用を模倣したものに過ぎません。
例えば川では、水の流れや岩や石などで出来る落としこみ等で、浄化槽のブロアーと同じように大量 の酸素を取り込み、岩や砂に付着したバクテリアで濾過されていきます。
海では、打ち寄せる波が空気を巻き込み砂に浸透し濾過を繰り返しています。まさに「流れる水は腐らない」のたとえどおりです。
このように、自然界では浄化を繰り返しバランスを保っているものですが、人口増加などで許容量 を超えてしまったため浄化槽などの設備が必要となるわけです。
また、最近見直されるようになりましたが川底や護岸をコンクリートで固める河川工事ではバクテリアや酸素の取り込みが著しく落ちるため、浄化作用が出来ず水質悪化の原因となっています。



 用語の説明

【BOD、生物化学的酸素要求量 】 Biochemical Oxygen Demand
水の汚れ具合をBODで表し,バクテリア(水中の微生物)が汚れを食べて分解するために必要な酸素の量 をmg/Lで表したもので、汚れが多いとそれだけBODも多くなります。
詳しくは汚水中の有機物が好気性微生物の生物化学反応によって分解されるときに消費される酸素量 のことで、値が大きいほど汚れた水です。
ちなみに測定の仕方は、20℃で5日間そのままにしたときの水中溶存酸素の消費量 を測定したときの値です。
人は1日に200Lの汚水(主に風呂、台所、便所)を出し、そのBOD濃度は200mg/L程度で、人1人あたりのし尿の量 は1LでそのBOD濃度は、13,500mg/L程度です。


【ばっき】 Aircuration
汚水を処理するときの汚水と微生物が十分に接触し、微生物たちが生きていくために必要な酸素を供給するための攪拌操作。
汚水を微生物が浄化(有機物を食べる)ときには酸素が必要であるが、これが足りなくなると浄化機能が低下します。
酸素が多ければいいかというとそうではなく、多すぎると微生物の活動が活発になりすぎて汚水中の有機物を食いつくし、さらに微生物が微生物を分解し始め、結局は微生物の量 が少なくなって次に汚水が入ってきたときに浄化作用が低く、またはなくなってしまうことがあります。


【SS 浮遊物質】 Suspended Solids
水中に浮かぶ1μm以上の浮遊物。通常mg/Lであらわし、値が大きいほど濁った水といえます。
測定の仕方としては2mm目のふるいを通った水を1μmのメンブレンフィルター(目の細かいふるいみたいなもの)に通 して補足される微粒子の乾燥重量を測ります。(有機とか無機とかの区別は無い)
外見上、濁っている感じがする水にはSSが多く含まれています。 ちなみに0.03mm(30μ m)よりも大きければ肉眼で見えるそうですが、それ以下だと濁って見える程度だそうです。
無機性の浮遊物であれば腐敗等を起こすことは無いので、BOD源としての問題は少ないのですが、屎尿処理に含まれてくるような浮遊物は主として有機性のものであることが多く、環境への影響も大きくなることが考えられるので、できるだけ除去しなければなりません。


【好気性・嫌気性】
好気性微生物は、酸素がある環境で生育・増殖する微生物。 嫌気性微生物は、酸素がない環境で生育・増殖する微生物です。
ちなみに通性嫌気性微生物は条件によってどちらにも対応出来る微生物です。 好気性処理といえば、汚水を酸化して浄化する方法でたとえば、散水ろ床法、活性汚泥法、接触ばっ気法などが代表的なものです。
散水ろ床以外は基本的にばっ気による酸素の供給が必要です。 嫌気性処理といえば、汚水を還元して浄化する方法で処理装置は酸素の存在しないように密閉し、嫌気性微生物を増殖させます。
たとえば、腐敗槽、嫌気濾床などがあります。 嫌気と好気をうまく組み合わせることで、N(窒素)やP(リン)を除去することが可能になります。



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